いつもと違う枕・敷布団を使用した時や、ソファーで寝てしまった時に起こることが多い「寝違え」。
朝起きた時に首や肩に痛みが生じ、その日一日中首が痛くて一方しか向けないことなど、多くの方が経験されているのではないでしょうか。
しかし、寝違えはどのように起こるかご存知ですか?ここでは寝違えの原因や治し方についてお伝えしていこうと思います。
寝違えってそもそも何?
寝違えの医学的用語は「急性疼痛性頸部拘縮(きゅうせいとうつうせいけいぶこうしゅく)です。簡単に言うと「急に痛くなって筋肉が固まってます」ということです。
症状としては・・・
・痛みがあるため首をある方向に動かせない
・肩や背中が痛くなる
・半日~1日で症状が治まる
ほとんどの方は半日~2日で痛みが引き、首を元通りに動かすことができます。
寝違えの原因
寝違えで最も多い原因は「寝ている姿勢が不自然」。
普段と違う布団・場所で寝てしまった、枕が合わなかった、寝返りができない状態だったなどの原因で寝違えが起こります。
しかし変な寝方をしても、痛みを伴わないこともありますよね。それはうまく寝返りができている、また首の筋肉を傷めない程度の姿勢で眠ったということになります。
不自然な寝方をし、痛みが伴う場合は「筋肉が炎症」を起こしているからです(急性炎症)。
変な姿勢で寝てしまうことで、首の筋肉に負担がかかり、筋肉線維を損傷させ、筋肉への血液循環が悪くなることで痛みが出現してしまいます。また筋肉だけでなく、関節炎も一緒に発症することが多いです。
人間の首は元々衝撃に弱いため、通常ではない姿勢(不自然な姿勢)を長時間していることで簡単にダメージがきます。日常生活においても長時間のPC作業をされていると首が疲れますよね。
そんなダメージがきやすい場所ですので、長時間の不自然な姿勢で簡単に筋肉や関節にダメージを与えてしまいます。また元々の肩こりや運動不足も寝違えの原因にもなります。
また日頃から姿勢が悪い方も寝違えになりやすいと言われています。日頃の姿勢が悪いことによって首や肩に負担がかかっていれば、循環不良になりやすく寝違えが起こりやすいです。
寝違えは首だけではない!?
主に多いのが首ですが、実は肩や背中、腕や指などの他の部位でも起こります。ほとんどが首と共に発症します。寝返りができないなどの不自然な姿勢を強いられた場合は、肩や背中に常に筋緊張がかかり、負担がかかってきます。それによって首だけでなく、他の部位も波及し、痛みを生じるのです。
寝違えで治療院に行く必要はある?
寝違えは数時間~一日で治ることが多いですが、痛みが強い場合や数日経過しても同じ部位、同じ痛みの強さがある場合は治療院へ行きしましょう。
首の痛みが持続する場合、考えられることは
・頸椎椎間板ヘルニア
・頸椎脊柱管狭窄症
・頸椎症性神経根症
などが考えられます。
特にケガや事故を起こしてから寝違えが多くある場合や、手がしびれるなどの諸症状が生じている場合は一度、整形外科を受診するのおすすめします。
また首の痛みは整形疾患だけでなく、内科系の疾患も考えられます。整形を受診してもしっかりした診断がつかず、痛みが緩和したり、増したりしている場合は放散痛(原因が内臓)の場合があります。
しかし、しびれや痛みの症状があるからって必ずしもヘルニアなどの病気というわけでもないし、ヘルニアと診断されたからって必ずしもしびれと関連しているわけではないのどご注意ください。
寝違えの治し方 4つ
寝違えは炎症が主原因なのでこの4つを行ってください。
①湿布を貼る
寝違えは、筋肉や関節にダメージ(炎症や損傷など)を受けることが原因です。ダメージを落ち着かせるために「湿布」はとても効果的です。
湿布は消炎鎮痛剤が含まれています。そのため湿布を貼ることで痛みは落ち着いてきます。注意して頂きたいのは市販で売られている湿布には「消炎鎮痛薬」が含まれておらず、単なる「冷却」の場合があります。冷却でも良い結果にはなるのですが、痛みを早く消すためには消炎鎮痛剤が配合されている湿布が良いので、配合成分をしっかり読んで購入するようにしてください。
②痛み止めを飲む
湿布と同様に消炎鎮痛剤を服用することで痛みが軽減します。湿布は周囲の人から見えますし、自分一人で貼ろうとしてもなかなか難しいものです。その場合は消炎鎮痛の内服薬を服用するようにしましょう。
③痛みが増悪する方向を向かない
痛みがある方向にわざと向かないようにしましょう。痛みがあるということは「そっとして」と体が答えているのです。それをわざわざ動かすことは痛みの増悪、悪化に繋がります。
首が痛いとどうしてもマッサージをやってしまいがちですが、マッサージはかえって悪くする場合があるので、最初に1日、2日ははなるべく触らないようにしましょう。
④ツボを刺激する
落枕(らくちん)というツボで手の甲にあります。人差し指と中指の骨の間の少し窪んだ部分を押してみましょう。一回に10秒じっくり押していきます。少し強めに痛みがある程度に押してください。
寝違えの時にしてはいけないこと3つ
寝違えた時にどうしてもやりがちな行動が実はNGだったのです。
①ストレッチ
人間は痛みがあるとどうしても身体を無理に動かしたくなるのですが、痛みを早く治したい方、ストレッチは我慢してください。特に首の筋肉をストレッチすると悪化します。
もし、どうしても身体を動かしたいという方は、腹部~下肢にかけてのストレッチを行うようにしてください。
②マッサージ
痛みがあるから筋肉をマッサージすれば治ると思い込みがちですが、こちらもNGです。
マッサージは筋肉自体を押すことになり、痛めている筋肉にさらに追い打ちをかけるように痛めつけるという結果になります。またマッサージは血液循環を良くする効果があるため、痛みが引くどころか炎症がさらに悪化します。
マッサージをする場合は首から少し離れた箇所を行いましょう。例えば、腕や背中など、一見関係ないように思いますが、筋肉は連動しているので、他の筋肉が緩むと首のも緩み、痛みが軽減されます。
③首を温める温熱療法
温湿布を使用する場合は、長年の肩こりや腰痛などの「慢性疼痛」です。慢性的に痛みがある場合は筋肉の血液循環不良が考えられ、血液循環を改善させるためには温熱がとても効果的です。一方、寝違えは「急性炎症」なので、まずは炎症を抑える必要があります。
急性炎症の場合は「炎症」なので冷やす必要があります。血液循環を良くしてしまうとより痛みが増すため、冷やすようにしてください。
寝違えの予防って何?予防方法4つ
寝違えを予防するために、この4つを行ってみましょう。
① 自分に合った枕を知る
枕の高さや大きさ、材質、固さは人それぞれ合う、合わないがあります。まずはその枕が自分に合っているのかを知ることが大切です。枕一つで睡眠の質がとても変化します。枕の専門店などで自分に合う枕を調べてみましょう。
② 狭いところなど寝返りができないような場所で寝ない
ソファーや車で寝ることが多い方はなるべく寝具で寝るようにしてください。「自分はどこでも寝れる!十分寝れている!」という方は多いですが、実は身体は休まっていません。特に車で寝る場合はフラットにならずに眠るため、自分ではリラックスできているようでも、身体は「完全な脱力」を行うことができません。身体がしっかり休めることができていないと大きな病気にも繋がることもあります。できる限り身体を休めるために布団やベッドで眠るように心がけましょう。
③ 毎日首や肩甲骨周囲のストレッチを行う
特に日中デスクワークの方は首、肩、背中は常に負担がかかっています。そのため首や肩に疲労がたまりやすい環境を作っているので、首や肩、背中、腕の筋肉をしっかり伸ばしていきましょう。
首のストレッチのやり方はこちらの記事を参考にしてください

④ 身体の筋肉量を増加させる
ストレッチだけでなく筋肉をつけることも大切です。筋肉量を増やすことで姿勢も良くなり、血液循環も向上し、体温も上がります。身体の冷えは寝違えになりやすい、病気になりやすい環境因子にもなります。なるべく筋肉量を増やし、身体を温かくしておくと良いでしょう。
首の寝違えの原因と治し方のまとめ
朝起きて寝違えていると、その日一日やる気が起こらなくなりますよね。
「なってしまったものは仕方ない!」と腹をくくり、ここでお伝えした寝違えの対処法(湿布や鎮痛剤)で痛みを軽減させ、痛みが治まったらストレッチや運動を行い、健やかな一日を過ごせるようにしましょう。
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